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なにそのツンデ霊☆四人目★
- 1 :本当にあった怖い名無し:2006/06/19(月) 23:17:37 ID:2ued6Dho0
- 怖い話に出てくる女幽霊は実はツンデレなのではないかという新説を
検証してみるスレッドです。
前スレ
なにそのツンデ霊★四人目★
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1145453459/
なにそのツンデ霊★三人目★
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1142094064/
なにそのツンデ霊★2人目
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1139653191/
なにそのツンデ霊www1人目
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1131190956/
まとめサイト
http://www.tsunderei.org/
- 393 :本当にあった怖い名無し:2006/07/19(水) 20:59:39 ID:qTWObPXM0
- 泣けてくるくらい美しいお話をありがとう。見事すぎて言葉もありません。
- 394 :本当にあった怖い名無し:2006/07/19(水) 21:04:25 ID:vJJfd/NV0
- このスレの作品をはじめてリアルタイムで読んだ。
最初にスレを開いたときにちょうど(五)で区切れてすっげービビり、
引き込まれるように最後まで読んでしまった。
萌えることにかけては上作の多いスレだと思っていたが、
怪奇小説としての上質さまで感じたのはこれが初めてだった。
すばらしい作品をどうもありがとう。
- 395 :本当にあった怖い名無し:2006/07/19(水) 23:29:32 ID:M3jLDV3U0
- g…GJ。・゚・(ノД`)・゚・。
- 396 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 00:29:22 ID:7Xog+WV/0
- な、なにそのツンデ霊…GJ・゚・(ノД`)・゚・。
- 397 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 00:54:30 ID:mZ+Ekt9f0
- 何この名作
- 398 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 01:36:01 ID:I2ujepJp0
- 是非アニメ化、いや映画化を!
- 399 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 02:13:53 ID:Q05jECNKO
- あんた才能ありまくりだな
- 400 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 02:48:40 ID:cXkHotOG0
- 誰この天才
- 401 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 03:17:26 ID:Dm0cGL3iO
- 俺「おい、義妹!見てみろ!すごい良質なツンデ霊話がうぷされてるぜ!まさに最高にGJってヤツだぁぁぁ!」
俺は居間で原稿用紙に向っている義妹の幽霊に話しかけた。
義妹は『ツンデ霊話を作るにはツンデ霊に成らねばならぬ!敵知己知百戦不危也!』と中央線に飛び込んで死んだ兵頭会長も真っ青な兵(つわもの)だ。
JRから請求された莫大な賠償金により一家は離散し俺は腎臓と角膜を一つずつ売る羽目になったが。
義妹「バッカじゃないの!?
私より文才があるヤツなんていないわよ!」
俺「いや、素晴らしいぞ>>392は。見ろ!このマンセーとGJの嵐を」
義妹「アンタ達みたいな無知蒙昧な輩がマンセーする作品なんてどうせ低俗で沒文学なんでしょ?
興味無いわよっ!」
俺「まあいいから読んでみろよ」
義妹「し、仕方ないわね!つまらないに決まってるけど暇だから読んであげるわよ!」
…
義妹「うぅぅぅ…眼創タン、カワイソス(´;ω;`)」
俺「何泣いてんだよ」
義妹「ち、違!こ、これは汗よ!今日は暑いから目から汗が…う、うぅうわーん!グッジョブぅ!GJ!」
- 402 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 10:23:45 ID:UzU+ydPg0
- 「あなたは生きて・・・」
みたいなSSを読みたいな。
と、つぶやいてみる。
- 403 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 11:50:44 ID:b9qMOFO0O
- まとめサイトとか
- 404 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/20(木) 13:41:47 ID:auuFHzmb0
- 俺は子供の頃、よく親父に水族館に連れて行ってもらった。
あれからどれくらい経ったろうか。
親父の事業が失敗し、一家は離散。俺もついこの間までは大学費捻出のためにバイト三昧だったわけだ。
今? まぁ、今は特に何もないからさ。ほら、こうして思い出の水族館に来たんだよ。
あの頃はさ、ペンギンがブームでさ。よちよち歩くペンギンが、氷の上をスィーっと滑ったりおもちゃのピアノを弾いたり。
子供心に萌えをかんじたね。いや、まぁ、あの頃は「萌え」なんて言葉なかったけどよ(笑
で、俺のお気に入りのペンギンがいたんだ。ペン太って名前のオスでさ、ショーをするのはその一匹を除いてみぃんなメス。
子供心にかわいそうと思ったよ。幼稚園の頃は男より、女の方が強かったからな。いじめられてるんじゃないかと心配していたんだよ。
さて、そのペン太。俺の声援にこたえるんだ。
「がんぱれー、ペン太!!」「グァッ」って感じで。
…
「おお、兄さん、ペン太を知ってるのかい? あいつもペンギン冥利につきるだろ」
「ま、まだ生きてるんですか?」
「残念だね。あいつは2年前に老衰で死んだよ。ペンギンの寿命は大体20年なんだが、あいつは無事寿命をまっとうできたみたいだ」
はは。そうだよな。会えるわけねえよな。それでも、2年前生きていたんだからそれはそれでいいんだろ。
…もっと早く来ればよかったな…。久しぶりに訪れた水族館は古びてしまったがさして変わっていなかった。
俺は思い出のペンギンショーエリアに足を運ぶ。
ベンチの塗装やらがはげてちょっと古くなった感じはしたけど、やはり変わらない。
ペンギンショーが始まったんだが…なんか目の前が曇ってみえねぇ。と、どうした、これ?
たは、俺泣いてんジャン。やれねぇな。
とりあえず、「ペン太!!」って叫んでみた。横のちっちゃな女の子が俺の声に振り向いた。へん、恥ずかしくなんかねぇよ。
もっかい、「ペン太」と今度は小さな声。と、「グァ」と聞こえた気がした。
- 405 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/20(木) 13:43:17 ID:auuFHzmb0
- 俺はもうそれ以上、ショーを見ていられずその場を離れたんだ。と俺の横に座った女の子がついてきた。
つつっと俺の服を引っ張る。
「お、娘ちゃん、どうした」「グァ」
…「は、はぁ!?」げ、こいつ、もしかしてペン太!? とそのとき思ったさ。
でも「ペンギンのまね。似てる?」だって。いや、ホント、むかつくを通り越して笑いがこみ上げてきた。
その子供、一人だったみたいだからさ。俺、そいつと一緒に水族館回ったよ。人攫いなんていうなよな。
そいつ、結構博識でさ。水族館の魚をほとんど知り尽くしてんの。
マイワシのコーナーで、「これ、うまいんだよね。最近は高級魚だからお兄ちゃんの薄給じゃ食べれないかしら」なんていわれて、向かっときたさ。
「ところでさ、お兄ちゃん、いい大人が一人でこんなところで何してんの」だって。
「思い出の場所なんだよ」
女の子は俺の顔を見て、「だっさ」といった。こんにゃろ。
少しむっとしてそっぽを向いていると、その子が俺を覗き込んできた。
「おこったの?」「オトナも傷つくんだよ」
「そんなことくらいで怒らないの。大人なんだから」なんか、説教されてる?
「娘ちゃん、そろそろおそいぜ、帰りなよ」「心配ない」
「そっか、俺は行くぜ」とそのまま水族館を出ようとした。…ぎゅっと服のすそをつかまれた。
「ちょ、離せよ」「…や」振り向くと目に涙をいっぱい称えている。
え…嘘、俺、わるもん?
人目もあるからさ、俺、とりあえず、残ったよ。
「お兄ちゃんのお話聞いてあげる」生意気な口調でいう。その目は真剣だ。
「…つまんねぇ、話だぞ…」「いいから、早く」
しょうがねえなぁ…
…
『俺は子供の頃、よく親父に水族館に…』
…
…
…
- 406 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/20(木) 13:45:10 ID:auuFHzmb0
- 「ふーん、苦労してんだね」
「どういたしまして。そんなわけで顔だしたんだな」ベンチに座って天井を見上げる。と、女の子は俺の背後に回って目隠しした。
「お、およ」「およって変な声…少しじっとしなさい!」ぺしっと頭を叩かれる。
「むむ…」1、2分経ったか。不思議な感覚が訪れた。静寂に放り込まれる感じ。遠くから何か聞こえる。
「…ぐ…ぐぁっ…グァグァッ。グァっ」「ぺ、ペン太!?」「グァッ」こんなことあるのだろうか。脳裏にペン太の姿が鮮明に浮き上がった。
ちょ、ダメ。思いがけないペン太との遭遇(脳裏のイメージだが)に涙が溢れる。
その姿はまるで生きているようだった。娘ちゃんのペンギンの物まねとイメージがぴったり一致し、俺は本当にペン太に出会えたかのようであった。
変な光景だとは思う。だが俺はしばらく、娘ちゃんに目隠しされたまま泣いていた。
「満足した? また、死にたくなったらいつでもペン太にあわせてあげるね」
…どきりとした。
「死んでいいことなんて何も無いんだからね。ちょっとした幸せがあると生きる希望、出てくるでしょ」
すっと手が離れる。俺はどきどきした心を見透かされるのではと、後ろを振り向けない。
「な、なんでそう思う?」と振り向いた時には娘ちゃんはいなかった。
遠くで「グァ」っと声が聞こえた気がした。
…
俺は大学を卒業したが、就職に失敗した。
何もかもが嫌になっていた。
思い出の水族館を出たら、首をつろうと思ってたんだ
…
「兄さん、久しぶりの水族館はどうだったね」ペン太のことを教えてくれた案内のおじさんが声を掛けてきた。
「ああ。すごく…よかったよ」そして俺は、さっきの女の子のことを話した。
「兄さん、あんたぁほんまに、その子にあったんかね」「え、あ、はい」
「そうかそうか。やはりいい子じゃなぁ」
…ペン太の飼育係の人が一家無理心中をした事件があったという。家族で車に乗りそのまま海に飛び込んだという悲しい事件だ。
そして、飼育係には娘がいたそうだ。ペン太の好きで、いつも物まねをしていたんだそうだ。
『死んでいいことなんて何も無いんだからね』
俺はその言葉を胸に刻み水族館をあとにした(了)
- 407 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 15:20:06 ID:UzU+ydPg0
- GJ。・゚・(ノД`)・゚・。
たまねぎさん、昼間っからウルっとしたじゃねーかよ。
- 408 :義妹批評:2006/07/20(木) 15:52:16 ID:Dm0cGL3iO
- 俺「どうだ義妹?たまねぎちゃんの新作は?ウルっときたか?」
義妹「うーん、悪くは無いわね、でもペンギンと少女の関連性を匂わす描写が弱いところとエピローグの蛇足さが画龍点晴を欠くって感じ!」
俺「辛口だな、俺的にはGJなんだけど」
義妹「批評ってのはおしなべて辛辣になるものよ、思うにたまねぎ君の作風やレトリック技法は涙腺に訴えかける叙情型には向いてないのよ、彼の先鋭的な感性はもっと他に生かすべきだわ」
俺「まさか、オナホール職人!?」
義妹「バキの中の人が逝っちゃった今となってはたまねぎ君がエッジとヒネリの効いた異端派を背負って立たねばツンデ霊スレの興隆は覚束ないわ!」
俺「つまりたまねぎ版、ファイトなさいが読みたい、と」
義妹「べ、別に楽しみにしてるって訳じゃないだからね!いいからさっさと書き上げなさいよ、たまねぎ野郎」!
- 409 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/20(木) 16:03:51 ID:auuFHzmb0
- すいません。バキさんのは神がかっていて私にはとてもとても。
あの人の作風大好きだったので引退されると寂しいなぁ。
ねぇ、義妹批評さん。
- 410 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 16:29:04 ID:lIXETSo2O
- >>408
そろそろ
- 411 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 17:00:35 ID:LJiWA/ItO
- >>408
スレの
- 412 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 17:05:09 ID:o2jmFuFP0
- >>408
ために消えてくれ?
- 413 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 17:07:28 ID:SZ7CBpO10
- >>408
…ちょ、ちょっとあんまり本気にしないでよね!
ただこう、ちょっと、言い方とかね、その・・・あーもう!
- 414 :ツケあがる義妹:2006/07/20(木) 20:22:45 ID:Dm0cGL3iO
- 義妹「うわーん!義兄!義兄!聞いてよ!非道いんだよ!」
俺「ど、どうした義妹?そんなにとり乱しおって」
義妹「侮蔑された!只、漫然と座しツンデ霊話を猟蒐するしか能の無い不羈怠惰な豚野郎どもが私に『スレの為に消えろ』と不埒な暴言を!
ツンデ霊スレの捲土重来を期し国家百年の計を錬るこの私にあの薄汚い白痴どもが!」
俺(義妹だって偉そうに批判するだけじゃん、嫌われて当然だよ)
義妹「絶望した!心ない輩の謂われ無き中傷に絶望した!悪意と嗜謔の猖獗たるこのスレに絶望した!」
俺「落ち着け、義妹!あれはな、『ツン』だ!すぐに『デレ』と続くんだよ」
義妹「そなの?なんだ、アレは愛情表現なのね?
好きな子には意地悪したくなる幼児性質には閉口だけど、デレ次第じゃ寛恕してやらない事もなくってよ!
ほら!さっさとデレなさいよ!」
- 415 :304:2006/07/20(木) 21:08:05 ID:Q05jECNKO
- 「はい、おしまい。」
「むぅ、割に良くできているではないか。」
「ったく、お前が髪切ってほしいっつんたんだろうが。」
「ふん。店が暇そうだったから仕事を与えてやったのだ、感謝しろ。」
まったくコイツは素直じゃない。
結局、この出会いのお陰で今の俺があるのだけれど。
「どこへいくのだ、愚図。」
「口を開けばそれかよお前は…。…職探しだよ、そろそろ貯金も尽きるからな。」
「やっと腰をあげたか。しかし、貴様のような輩を雇う会社などそうそうあるまい。」
「俺は有能だからな。いくらでも職はあるさ。」
「ほざけ、温室育ちが。」
そうそう、今更ながらコイツは幽霊。なんでも俺の守護霊様らしい。
……俺は死神だと思ってるけど。
「職は見つかったか?」
「求人はあったが俺には合わない会社だったんで断ってきた。」
「素直に言うが良い。」
「ごめんなさい。甘く見てました。」
「全く…、これだから前の会社もクビになるのだ。」
「お恥ずかしい限りです…。」
「仕方がない、私が職を与えてやろう。」
「ん?ハサミか?」
「髪が伸びてきたんでな。切るがいい。」
「確かに髪切んのは得意だけどよ。職って程のもんでもないぜ?」
- 416 :304:2006/07/20(木) 21:09:23 ID:Q05jECNKO
- 「あれは漫画だろうが。しかしこのままじゃのたれ死んじまうしな…。ちっ、しゃあねぇ!やってみっか!」
「その意気だぞ。」
……そして今。
俺は親に頼み込んで学校に通い免許をとり、小さいながらも店を持つようになった。
「またお越しくださ〜い!…あっそうだ。」
「どうした?」
「お前にこれやるよ。」
「髪止めか?」
「お前髪伸びんのはやいからな。俺が忙しいときはそれでとめとけよ?」
「ふ、ふん、物で釣っても何も出ないぞ。」
「?俺はお前が居てくれるだけで良いぞ?」
「な、何を言っている!ほ、ほら!客が来たぞ、仕事しろ!」
「お、いらっしゃい!座って待ってて下さいね〜!今掃除しちゃうから!」
その店は誰も客が入っていないときにも髪の毛が落ちてると、地元では有名だそうだ。
- 417 :304:2006/07/20(木) 21:12:28 ID:Q05jECNKO
- ミスった上に下げ忘れたorz
>>416の前には↓がはいります
「私で練習すれば良いではないか。」
「…美容師を目指せと?」
「不満か?」
「免許ねぇしなぁ。」
「“ぶらっくじゃっく”とやらは無免許だぞ?」
- 418 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 21:36:08 ID:/U5EQ6Lp0
- 一瞬自分の読解力を疑ったよ
GJさせていただきます
- 419 :本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 23:33:01 ID:083QdeEl0
- >>414
いい加減面白くない事に気付きなよ
他人の批評しといてそのレベルじゃ説得力なさ過ぎるんだ
- 420 :304:2006/07/21(金) 00:43:17 ID:81STtI4LO
- あっ、sageれてた…。
>>418
読みにくくてすいませんでしたm(_ _)m
- 421 :本当にあった怖い名無し:2006/07/21(金) 05:43:38 ID:Dy67LgwUO
- >>419
あれだ
以前誰かがやった「勘違いした『ツンデレ』の伏線」なんだよきっと
- 422 :本当にあった怖い名無し:2006/07/21(金) 17:01:00 ID:Yq5lQaOI0
- 上官が死んだ。
その存在を惜しんで泣くやつもいたが、自分は狂喜した。
なぜなら、あのクソアマに最もイビり抜かれたのが、自分だからだ。
確かに自分は体力はそこそこだが、頭と要領が悪かった。やつはそこを突いてきたし、
論理の逃げ道を塞ぐのも得意だった。そうやって、イジメを正当化していた。
理不尽極まりない苛烈なイジメに、よく耐えたと思う。
自室で独り解放感を噛み締めているとき、ある考えが浮かんだ。
「どうせ死ぬんだったら、思いっきりレイプしてやればよかった…」
それはもう叶うことのない名案だったので、オナニーで昇華することにした。
いままでやつをネタにしたことはない。顔はまあ、悔しいが見れる方だし、
尻はいやらしかったし、透けポチにはどうしても目が吸い寄せられた。
しかし、やつで抜くのは負けだ、という思いがあったから、我慢してきた。
- 423 :本当にあった怖い名無し:2006/07/21(金) 17:02:02 ID:Yq5lQaOI0
- このネタは大変に優秀だった。妄想ストーリーがまだ序盤というところで、限界がきた。
ティッシュを用意するため、目を開けると、そこにはやつがいた。
屈みこんで、両膝に肘を置く形で頬杖をついている。
「軍曹っ!?」
習慣で、直立不動してしまう。
「あの世にいくまえに、貴様には伝えたいことがあってな」
「な、なんでありますか」
「とりあえずその汚いのしまえ」
「イエッサー!」
「サーは要らん。もう貴様の上官ではないのだからな」
「イエスビッチ!」
「殺されたいか?」
「のノーサー!」
身体はなくとも、間違いなくこの女はやってのけるだろう。
- 424 :本当にあった怖い名無し:2006/07/21(金) 17:03:27 ID:Yq5lQaOI0
- 「伝えたいことというのは……」
軍曹は珍しく視線を外して口ごもる。
「その…いままで…ゎ…………」
「?」
「……い、いや、なんでもない。意外と難しいものだな」
「なにがでありますか?」
「はは。こんな思いをするのなら、貴様に犯させてやればよかった」
「!?!?!!」
言葉の真意を訊くまえに、軍曹は顔を赤らめて消えてしまった。
ショックだった。
人生で初めてのことだった。
恥ずかしくてどうにかなりそうだった。
オナニー見られた。
- 425 :本当にあった怖い名無し:2006/07/21(金) 21:46:59 ID:+f7PSS9N0
- 後のサンダース軍曹である
- 426 :本当にあった怖い名無し:2006/07/21(金) 22:36:10 ID:9JMBdgnI0
- >>392
すげぇ……すげぇとしかいいようがない
- 427 :本当にあった怖い名無し:2006/07/22(土) 01:29:51 ID:8HGGeiS60
- >>425
台無しw
- 428 :本当にあった怖い名無し:2006/07/22(土) 01:42:01 ID:nPAH8Hi50
- >>427
IDがハードゲイゲイズ
- 429 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 03:03:19 ID:T4AT+dxmO
- 保守
- 430 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 04:39:29 ID:ZUVpHSqv0
- 夢を追いかけていた俺。挫折した俺。
何もかも、砕けた。何もかも、滅びた。
そんな俺を笑顔にしてくれたあいつが今は居ない。
俺は、ふらふらとそこへと向かう為に歩く。
―――バカ。あんたのためじゃないんだから!
そんな恥ずかしがりやのあいつ。
―――寂しいじゃないの・・・バカ。
そういえば、口癖がバカだったな。
―――バカ!!
ああ、今思えば、俺はバカだな。
―――ぐす・・・バカ・・・・・。
俺は、どうしたら良いのかわからないんだから。
―――必ず、帰ってきてね・・・。
お前の居ない家は、悲しすぎる。
お前が居なければ、俺は死ぬ予定だったんだ。
それが、遅くなっただけ。ただ、違うのは楽しい思い出が出来たこと。
悲しいけど、凄く楽しかった一時の恋の思い出。
俺は、これから死んであの世に行く。そこにあいつが居るとは思わない。
あいつは多分天国だから。俺は、多分地獄に行くから。同じあの世なのに違う世界。
どちらにしても、あいつの居ない世界、か。
断崖絶壁。そこから、俺は身を投げた。海が、海面が近付いてくる。
あいつが、死んだ海。夢を追いかけて、諦めて死んだ海。
身を投げて、死んだ海。俺は、それを辿る。
意識が失せる直前、俺が見たのは、手だった。それは優しく俺の体を包む。
海へ沈む体。霞む視界にあいつが居た。
「バカ・・・あんたは、死んだらダメだよ。
あんたの為じゃなくて私の為にだからね!」
- 431 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 04:41:18 ID:ZUVpHSqv0
- ・・・。・・・・・。・・・・・・・。
気付けば病院だった。白いカーテンと白い壁、そして白いベッド。
真っ白な世界はまるで天国だが、薬品の芳しい匂いがその考えを打ち消す。
「・・・・・・」
本当だったら死んでいたのに、俺は生きている。
それは、あいつが俺を生かしたからだ。聞こえた声が、証拠だ。
―――あんたは死んだらダメだよ。
―――あんたの為じゃなくて私の為だからね!
ああ、そうだ。俺はあいつの為に、あいつの分まで生きよう。
あいつが夢を諦めた分、俺が夢を追いかけよう。
そう決心した。
- 432 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 04:42:29 ID:ZUVpHSqv0
- そして、三年の月日が流れた。
俺は憧れだったタリモが司会のミュージシャンステーションに出ている。
再び追いかけた夢が、今度は叶った。全部、あいつが俺を助けてくれたからだろう。
あの時、生かしてくれた。そして、こうやって売れたのはきっとあいつのおかげだろう。
お節介好きなあいつ。いつも怒ってたけど、いつも笑ってたあいつ。
「君が居るから僕が居る」。そんな単純なタイトルのこの曲にお礼を込めて俺は歌う。
そして、歌い終わった。俺は、ふと客席の後ろに何か見慣れた陰を見つけた。
あいつだった。変わらない笑顔でそこに立っていた。
口が動いているけど、俺には聞こえない。でも、解る。
―――良かったね。おめでとう。
そう言っていた。俺は、笑顔を自然と浮かべてあいつに言った。
「お前のおかげだよ」
どうせ、言い返してくるに違いない。
―――バカ。
ほらね。俺には聞こえないけど、やっぱりこう言い返してきただろ。
―――私、楽しかったよ。ありがとう・・・さようなら。
あいつは、俺に手を振ると煙が風に吹かれるように消えてしまった。
これで、永久にさようならになるのだろう。なんとなく理解してしまった。
目からはみ出た涙が、あいつみたいに優しく頬を撫でた。
余計に、涙が溢れた。
「俺も、楽しかったよ。ありがとう・・・さようなら」
- 433 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 12:14:19 ID:9fY24JWH0
- GJ!
- 434 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 12:17:25 ID:zIcPbu0Z0
- BJ!
- 435 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 12:18:27 ID:Or6WzrTNO
- ビジネスジャンプ?
- 436 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 14:11:32 ID:U0t4qBfz0
- ブラックジャック?
- 437 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 15:29:48 ID:4FU5BREjO
- バスジャック?
- 438 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 17:58:32 ID:9U6txX4t0
- たらこ唇と釣り針?
- 439 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 19:03:30 ID:Or6WzrTNO
- ソレダ
- 440 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 23:01:35 ID:ExCXjZe30
- >>434がおよげたいやきくんにしか見えんようになったw
- 441 :本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 23:27:05 ID:md2UO/Kd0
- むぁーいにっち むぁーいにっち
- 442 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 01:21:48 ID:0GAV4bkdO
- はっじっめっておーよーいーだ海の底ぉー
- 443 :432:2006/07/24(月) 05:04:48 ID:gNEHEwBq0
-
とっても、潮風は気持ちがいいもんだった。沈んでいく夕日。
出店で売ってた鯛焼きを無理して食べたからお腹の餡子が少し重い。
それにしても、海は広い。見てると今年で二十歳になるのに心が弾んでしまう。
海中では桃色をしたサンゴがゆらゆら手を振っているだろう。
「・・・ここで、良いんだな」
「うん」
俺は、少女に問う。今まで結構長い間話してきた。
こいつは、俺がたまたま釣り上げて食った鯛焼きの霊だ。
正しく言えば、それの化けた姿。名前は麻凛。
思い返ってみると、鯛焼きを釣り上げて、それを食べて、麻凛が俺の前にに現れて昨日で一年。
あの日は、お盆だった。魂が戻ってくる日。
そして、今日は逆。見送らないといけない日。
「・・・」
どうしてだか、泣けてきた。いや、理由は解ってる。
俺は麻凛に恋をしているから。今まで一番の恋を。
叶うはずも無いのに。相手は自分が食べた鯛焼きの化身なのに。
「バカだね・・・それ、私の為に泣いてるの?」
「どうせバカだよ、俺は・・・さぁ、悲しいから早く行ってくれ」
俺は、ぶっきらぼうに言ってそっぽ向いた。
これ以上泣き顔を見られたくなかったからだ。
なんか、重い沈黙。耐え切れずに視線をあちらこちらに動かす。
それを破ったのは
「・・・ちょっと、こっち向いてくれる?」
「ん?なん―――」
そこから先は言えなかった。
口が塞がれていたから。麻凛の柔らかい唇で。
- 444 :432:2006/07/24(月) 05:05:28 ID:gNEHEwBq0
- 「えっと・・・泣いてる姿に少しだけ胸が痛んだからプレゼントをあげたの。
あ、ありがたく思いなさいよ!」
「ありがとう・・・記憶の中で大事にする」
「え・・・あ・・うん・・・・・」
また、重い沈黙。麻凛が海の方へと向いている。
夕日が、少しずつ沈んでいく彼方を見つめている。とても、綺麗だった。
俺はその姿を見て、
「・・・あのさ、麻凛」
後悔しないように、後々まで引っ張らないように、
「ん?」
自分の気持ちには整理をつけることにした。
「俺、お前の事が好きだったよ。過去形にしてるけど、今もね」
「・・・・・」
麻凛の顔が、一瞬で暗くなった。ああ、バカな事をした。
俺は、本当にバカだ。
「・・・じゃあな、麻―――」
「・・・しも・・・」
「え?」
「私も、大好き。本当に、本当に、大好き。
この一年、一緒に居て、むかついてばかりだった。
けど、そんな毎日が大好きだった。本当は帰りたくないの!
でも・・・でも・・・帰らないと、いけないの・・・!!」
麻凛はそう言って、その場に泣き崩れた。
肩を震わせて泣くその姿。鯛焼きなんかじゃない。今だけは女の子だ。
- 445 :432:2006/07/24(月) 05:07:21 ID:gNEHEwBq0
- ふと、その時異変に気付いた。気のせいかと思ったが、間違いない。
「麻凛、お前透けてるぞ・・・」
「思ったより、早かった・・・別れの時間が来たみたい」
無理してるっていうのが解る作った笑顔。涙がうっすらと浮かんでいる。
目に見える速さで、足から段々と消えていく。
「お願いがあるの。聞いてくれる?」
「もちろん」
「私の事、忘れないで・・・記憶の隅にでもいいから置いていて欲しいの。
あと、私を釣り上げた日には、必ずこの海に来て私を思って欲しい」
麻凛はすでに胴体まで消えている。
このまま掠れていく。このまま消えていく。
何も出来ない俺に出来ること、それは
「・・・解った」
願いを聞き入れること。
「ありがとう・・・。そうだ。あんたバカなんだから、ちゃんと食べ物とか気を使いなさいよ」
「解ってるよ。最後の最後までうるさいな」
「な、なんですって!?」
もう駄目だ。麻凛は既に肩まで消えている。
「・・・・・じゃあな」
「うん。元気でね・・・・・さようなら」
麻凛は、消えた。目の前で、消えた。
今まで一年間の思い出と俺を残して、跡形もなく。
「・・・」
その時、涙は出なかった。ただ、あいつがさっきまで居た場所を見つめていた。
でも、家に帰ってあいつの居ない部屋を見た瞬間、ダムが決壊したように涙がとめどなく溢れてきた。
その日は、眠れずに、ただ一日中泣いた。
それ以来、俺は鯛焼きを見るたびあいつを思い出す。
これは、俺が鯛焼きの化身あらため一人の少女に恋をした、一番大切なひと夏のほろ苦い恋の思い出だ。
- 446 :432:2006/07/24(月) 05:09:23 ID:gNEHEwBq0
- およげ!たいやきくんが書いて合ったのでカッとなって書きなぐった。
今は、ヒマラヤ山脈より高くマリアナ海溝より深く反省している。
- 447 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 08:35:45 ID:Tfe/q5UF0
- BJ
- 448 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 13:59:44 ID:tKfN6l020
- ロベルト・バッジョ
- 449 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 14:51:05 ID:gWax1ClE0
- もういいだろ、BJは。
というわけで>>432
BJ!
- 450 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 19:13:26 ID:K6qDAQTv0
- おいおい、ほろ苦い恋話が
お笑いになるじゃないか
BJ!
- 451 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 19:34:13 ID:1/iV/0RT0
- >>443
俺がまだ中学の時に怪我して病院で手当てして貰ってて、
偶然知り合った女の子が入院してて暇だから色々話聞かせてって言われて、
仲良く成って海行きたいな〜、元気に成ったら一緒に行こうって話をしてたんだけど。
一ヶ月位してお見舞いに行った時に部屋に誰も居なくてナースセンターで聞いたら、
一昨日に亡くなりましたよって言われて、呆然としてる所へ、女の子から手紙を預かってるって言われて手紙を貰いました。
「今まで隠してて御免ね。私、白血病なんだ。
○君に色々聞いてた話の海に行きたかったな。
短い間だったけど凄く楽しかったです。
有難う」
って内容でした。
それから毎年、女の子の命日にはお墓に行って、話してた海に行って一人ぼんやりしてます。
>>443の話見て思い出してしまったじゃないか!。・゚・(ノД`)GJ
- 452 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 19:56:14 ID:BlgjE2KD0
- そなゲ?
- 453 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 20:02:14 ID:bzPAlebp0
- これはちょっと嘘臭い。
- 454 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 20:27:59 ID:6GXx3mwD0
- ひろゆきは言いました
嘘を嘘と(ry
- 455 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 20:41:26 ID:KpDKonUV0
- まあでもここにある話が一つでも本当だったら凄いな
- 456 :本当にあった怖い名無し:2006/07/24(月) 21:23:50 ID:zTQ0QPZ70
- >455の自宅から
「ジェノッサァァーイッ!!」
という絶叫が聞こえたのはまさにこの夜である
- 457 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 00:33:23 ID:Bd7LT+PwO
- なぁ、おまいさんたち
BJってbad jobのことなのか?
- 458 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 00:36:50 ID:MIl5/hm1O
- BJと聞いて
ヤマハの原付スクーターしか思い浮かばない俺orz
- 459 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 00:56:51 ID:9dJg8sma0
- >>457
それは言っちゃいけない約束でしょ
- 460 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:11:21 ID:Cj0xOBsT0
- え? blow jobのことじゃないの?
- 461 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:27:19 ID:Bd7LT+PwO
- JはジェノサーイのJと思ったんだがな…そうか
- 462 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:54:12 ID:3YhRFDtq0
- その辺の道端にいるような奴ならともかく、
家に出る幽霊っていうのは、
大概は住民が引っ越してくる前からずーっとそこに居るもんだ。
前の住民も追い出すか呪い殺すかして、次の住民も。
みたいなルーチンを、それこそ物によっては百年以上繰り返してるわけで。
それを後からノコノコとやってきた人間が、
俺が金を払ってるだの、契約書があるだの、
そもそも幽霊がこの世にいるんじゃねーよだのと熱弁したところで、
あいつらにとっちゃどこ吹く風だろうし、
多少理不尽な物言いかもしれんと、
あいつらの肩すら持ちたくなるわけよ、俺は。
お前はどう思う、ボーズ?
そうか、俺の考え方は珍しいか。
そうかも知れないな。
まぁ、元からその手のものとは縁があるからな、俺の場合。
そんな俺でもだ、これだけは未だに納得できん。
だってよ、この家は、俺の方が先に住んでたんだぜ?
そうだな、これだけじゃ判断できないな。
順を追って話そう。
そうすりゃ、絶対に俺に同情してくれるはずだ。
- 463 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:54:59 ID:3YhRFDtq0
- 大学に進学して早半年、
初めの頃こそ慣れない一人暮らしに四苦八苦していたものの、
最近じゃ一人の生活を随分満喫していると思う。
安くてボロい部屋だがそこはそれ、まごうことなき俺の城には変わりないので、
ピッカピカに掃除をしてれば綺麗に見えるし愛着も沸くってもんだ。
だが、その日は何か違った。
バイト疲れの重い体を引きずって帰還すると、
気のせいか部屋の空気がいつもと違うような気がした。
淀んでいるというわけではないが、
例えるなら生臭いという表現が合うような、そんな空気。
さすがボロアパート、空気が篭りやすいのだろうか。
重たい体を引きずって窓を開けるが、
熱帯夜の空気はそれ以上によどんでいたので辟易としてすぐに窓を閉める。
クーラー買いたいなぁ、などとボンヤリと思いつつも、
疲れきっていた俺はそのまま畳に寝転んで眠りに落ちていった。
――ていけ。
――ていけ。
圧迫感を感じて、俺は目を覚ました。
酷く寝苦しい。寝汗を大量に流している。
水でも飲もうと思い、起き上がろうとした、が――
「動かん」
ぼやきは言葉にならなかった。どうにも体が動かない。
金縛りか。疲れてるのかな。
あぁ、そういえば心配事があると金縛りになりやすいってカーチャンが言ってたな。
カーチャン元気にしてるかなぁ。
- 464 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:55:31 ID:3YhRFDtq0
-
――出ていけ。
……はい?
――出ていけ、人間。
……おい、これでも疲れだっていうのか?
どう考えても声が聞こえるぞ。しかも、強烈な敵意のオマケ付きだ。
――出ていけ。
――出ていけ。
――出ていけ。
結局、それから一睡もすることなく朝日を拝む羽目になった。
学校が終わった後、家賃を払うというのを口実に大家の家に押しかけ、それとなく
聞いてみたのだが、この物件に曰くなんかは無さそうだった。
大学の図書館で新聞の記録を照会しても、真っ白。
何より、俺だったら曰く付きなら一発で気づいていたはずだ。
そもそもそんな部屋はいくら格安だろうと住む気はおきないしな。
厄介ごとは御免だ。
部屋に帰ると、やはり違和感。
どうにも空気がおかしい。
しかし、幽霊の発するそれではない。
一体どうなってるんだ、この家は。
この不穏な空気自体、一昨日までは一切感じる事がなかったのだが。
とりあえず、念仏なんかを唱えてみる。
- 465 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:56:29 ID:3YhRFDtq0
- ザワ
淀んでいた空気が鋭利になったような感覚。ちょっとヤバイかも。
――出て行け。
部屋の中央から、昨日の声が響いてきた。やはり、いる。
だが、よく分からない。未知の感覚。
触らぬ神になんとやら。
相手の正体が掴めない以上、これ以上は危険かもしれないので、止めておく事にした。
「悪いんだけど、出て行ったらみなしごになっちまうんでな」
――出ていけ。
聞く耳持たないよ、この新種の幽霊さん。
相手をしていても埒が開かないっぽいので、もう無視しておこう。
買ってきた惣菜をテーブルに投げ出して、風呂に入ることにした。
多分、今晩もうなされるんだろうし、
せめて食事くらいはさっぱりした状態で楽しみたい。
どうやら風呂には出ないらしい。
声が一向に聞こえて来ないので上機嫌で風呂に浸かり、
半額になっていた鶏のから揚げを楽しもうと部屋に戻ると、
「「あ」」
背中を丸めて一心不乱に食事をしていた少女と目があった。
「何してるんだ、あんた」
「――出てい」
「何をしていかと聞いているんだが」
コホンと咳払いをすると、女はこちらに向き直った。
- 466 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:57:08 ID:3YhRFDtq0
- 銀髪ともとれるようなロングヘアーに白い和服。
大人びて見えるが、見て取れる幼さからして、少女と言った方が適切だろう。
(まぁ、幽霊の年齢なんざ当てにならないが)
「供物を食べるのは妾の勝手であろう」
切れ長の相貌で憮然と睨み返してきたが、
深雪のように白い肌と比べてみると、頬は明らかに紅潮している。
ちょっと可愛いかもしれない。
そう思うと、恐怖感は薄らいでしまった。
「それは俺の飯なんだが。
そもそも、お供えした覚えはないぞ、お前みたいな正体不明な幽霊風情に」
「貴様、無礼なっ! 妾を人間の欠片風情と一緒にするでない」
「何だ、違うのか。じゃあ、動物霊か」
ピキッ
瞬間、目の前の空間が爆ぜた。
圧倒的な圧力にふっとばされ、強かに全身を壁に打ち付けられ、意識が遠のく。
いかん、俺、死んだかも。
- 467 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:57:40 ID:3YhRFDtq0
-
「やっと目が覚めたか。人間というのはこれだから」
「お前が無茶苦茶なんだよ。何だありゃ。
ポルターガイストなんて比じゃなかったぞ、殺す気か」
「ポルター……? き、貴様が妾を獣などと言うからだ、この無礼者が」
「……だって、お前、耳」
大慌てで頭を抱えたかと思うと、おそるおそる撫で始めた。が、そこに耳などない。
「貴様……謀りおったな……」
顔を真っ赤にして言われても怖くないが、さすがにさっきの二の舞はごめんなので弁明をしておく。
「いや、今は出てないけどさ。さっき飯がっついてた時に出たたぞ。ふさふさの尻尾も。お前、キツネか?」
「確かに、狐ではあるが……」
「やっぱ動物霊じゃん」
座布団が飛んできた。顔面で受け止めると結構な衝撃だが、さっきみたいに吹っ飛ばされるよりはマシだ。放り投げてくる仕草が可愛かったしな。
「いいか、二度は言わぬからよく聞け。動物霊は死ぬ前は普通の動物だったものだ。妾は生まれたときからこの存在なのだ」
「よく分からん」
ふふん、と得意げに語っている彼女には悪いと思ったが、分からんものは分からんので素直に伝えておく。
「だから……妾は、神だと言っておるのだ」
「……は?」
「何を呆けておる」
「あんた、神様なの?」
「いかにも」
「それが、何で俺の部屋で惣菜食ってるのさ」
「こ、ここはお主の部屋ではない。妾の社じゃ」
頭痛くなってきたぞ。どうなってんだ、この神様。
「それで、ここはお前の社だから、俺に出て行けと言ってたのか?」
- 468 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 01:59:13 ID:3YhRFDtq0
- 「そうじゃ、ここは神の住まわう社なのだから、
貴様のような俗な人間がいていいわけがなかろう」
「何、このアパート、神社を取り壊して建てられたりしてるの?」
大家のババアめ。隠してやがったか。
「いや、違うぞ。妾の神社は水無瀬山の麓だ」
「じゃあ、何でうちに居るんだよっ!」
「ここが、気に入ったからな。住み心地がいいのだ。
良き気が満ちているし、いい匂いもするでな」
「……いつからここに居る」
「昨日じゃ。散歩をしていたら見つけたのでな」
じゃあ、何か、お前は昨日たまたま見つけたこの部屋が気に入ったからって、
俺を脅して出てかせようとしたっていうのか。
「何て身勝手な奴……」
「黙れ不敬な。妾は神ぞ」
「不敬も何もねぇっ! 気に入った部屋なんかに居ついてないで
さっさと自分の神社に帰りやがれこの不良稲荷がっ!」
「……断る」
- 469 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 02:00:32 ID:3YhRFDtq0
- 少女の顔がかげる。逸らした眼差しには憂いが見て取れた。
「何でだよ」
「妾の神社は、もうないのじゃ」
それから彼女は自分が祭られていた神社の話をした。
昔はお供え物や参拝客が絶える事がなく。
境内では子供達が夕方まで遊び回り。
夏になるとお祭りで賑わいっていたそうだ。
飢饉の時も、日照りの時も、彼女は人々を見守り、手を差し伸べ続けてきたらしい。
初めて見せる、優しい顔は、やがて無表情な面へと吸い込まれていった。
「ずっと一緒に過ごしてきたのだ。なのに、人間というやつは……」
いつしか人々の信仰は薄れ、神社を守る神主もいなくなり、
境内は荒れ果て、人はよりつかなくり、
そして……ついに取り壊されて宅地になってしまったらしい。
そう語る彼女は、怒りよりも、むしろ寂しそうに見えた。
だからかもしれない、
『呪いでも何でもかけて工事を止めればよかったのに』
その言葉は結局発する事はできなかった。
「勿論、それも考えたが」
心まで読めるのか。さすがというか、やりずれぇな。
「やらなかったというより、できなかったのだろう。神という存在は観念的じゃ、
信仰心がなくてはその力は弱まってしまう。
……堕ちてしまえば怨みを力にする事もできようが、
妾は神である事を誇りに思っておる」
- 470 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 02:01:25 ID:3YhRFDtq0
- 「それで、俺の家になぁ」
「哀れなものだ。ここを社にと思っても、
人間一人を追い出す事も出来なかった。
挙句、幽霊なぞと間違われ……これでは堕ちたのとそう変わらんな」
「百歩譲ってだ、ここに住むのを認めたとしても、
何で俺が出て行かなきゃならん。
神社だって人がいないとお前の力にならんのだろう?」
「神社の境内の中で生活する人間を見たことがあるか?」
なるほど……それはいないな。
せいぜいホームレスが住み着くくらいだが、
それにしたって神様なんてもういないんじゃねーかって感じのボロばっかだもんな。
「あー、つまりだ。お前はこの家に住みたいわけだな」
「そうだ。だから貴様は出て行け」
「却下だ。しょうがねーから住まわせてやるってんだから俺に感謝しやがれ」
「……礼は言わんぞ。ここは妾の家だ。そして、貴様は出て行け」
「お前、実は凄い喜んでるだろ、しっぽ出てるぞ?」
ボフッ
また座布団が飛んできた。
まぁ、相変わらず投げる仕草は可愛いが。
「可愛いなどと気安く言うでない」
「言ってねーけどな」
「そもそも、好きで投げているのではない。
神ともあろうものが手ずから物を放るなどと……」
- 471 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 02:01:58 ID:3YhRFDtq0
- 「何だ、ポルターガイストくらい幽霊もできるぞ。
大体、さっきは物凄い事して俺を気絶させてたじゃないか」
「ポルター……? む、先刻のはカッとなってしまって、な。
あれで力を使い果たしてしまったのじゃ。
大体、貴様が供物ではないなどと断言するから……」
「何だ、お供え物がないと力も出せないのか。不便だな、神様ってのも」
「仕方なかろう。……もう10年以上供物は食していないのだ」
それはちょっと可愛そうかもしれん。
「ちょっと待ってろ」
冷蔵庫に不二家のショートケーキがあったな。洋菓子でも大丈夫だろうか。
「ケーキなんだけど、食うか?」
「……ケーキ?」
「まぁ、いい。ほら、俺からのお供えもんだ。受け取れ」
「む……」
おそるおそる口に運ぶ。箸でケーキを食う姿はギャグでしかないが。
「あ、甘い……、おいしい……」
驚いた。ケーキに喜ぶその顔は、年相応の少女そのものだったからだ。
「これ、もうないのか?」
「あぁ、すまんな。気に入ったならまた買ってきてやるよ」
「そ、そうか」
「だが、いいのか。妾に力が戻ったら、貴様をここから消し去るぞ」
「ん、それは困ったな。まぁ、神様にはお供え物をしないとな」
返事はなかった。黙々とケーキを食べている。
喜んでもらえて何よりだ。
「うし、俺は今日はもう寝るぞ。さっきのでまだ体痛ぇ」
「勝手にしろ」
- 472 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 02:02:47 ID:3YhRFDtq0
-
その晩は、特にうなされる事なく寝れた。
一瞬、気配を近くに感じたが、何か暖かい感覚が俺を包んだだけで
特に金縛りに会う事もなかった。やっぱ、根はいい奴なのかもしれない。
「おい、朝飯にするぞ、出て来い」
「なぜ貴様の朝餉に妾が付き合わねばならん」
「いいんだよ、今日からは朝晩は一緒に飯食うからな。お供えもんだと思え」
「そうか」
「なぁ」
「なんだ」
「昨日の夜、寝てる俺に何かしたか?」
「知らん」
「そうか。あー、昨日あれだけ酷い目にあったのに、今日はどこも痛くないや。
むしろ体調ばっちり? 不思議だなー。ねー?」
「飯くらい黙って食ったらどうだ」
「ところでさ、神棚買おうかと思うんだが」
「いらん。そんな場所に住まう気はない。妾はこの部屋に住むのだ」
「それだと俺と一緒じゃないか」
「だから、力が戻ったら追い出すと言っておる」
「また無駄遣いしたくせに」
「味噌汁の味が濃いぞ」
「へぇへぇ、次からはお前好みにお供えしますよ」
「峯念」
「ん?」
「お前ではない、峯念だ」
「分かったよ、峯念」
「不敬な」
おい、耳、耳出てるぞ
- 473 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 02:03:40 ID:3YhRFDtq0
-
と、まぁこんな感じだ。酷い話だろう。本当理不尽だよな。
まぁ、何とか部屋は追い出されなくて済んだんだけどさ。
代わりに人生狂わせられちまったさ。
あの頃は教師になるって夢があったんだけどなぁ。
何の因果か今じゃ毎日袴を穿いて境内のお掃除さ。
まぁ、うちの神社は賑わってるし、やりがいもあるさ。正直この仕事も好きだ。
でもなー、肝心の神様が、
境内じゃなくて裏のボロアパートに住んでるってのが玉に瑕だな、うちの神社は。
あそこは神様じゃなくて、神主の家なんだけどな。
今頃お供え物を二人分作りすぎてる頃だろう。腹減ったし、俺帰るわ。
じゃあ、ボーズも気が強い女に捕まらないように気をつけてな。
- 474 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 02:05:03 ID:3YhRFDtq0
- >>467で改行し忘れてた……すまぬorz
- 475 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 02:07:16 ID:BBkeaBjG0
- >>462
GJ
- 476 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 10:20:17 ID:0jB3Z3Aq0
- モフモフ?
- 477 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 11:40:08 ID:4Pi1uyxe0
- GJ
モフモフ…ウラヤマシス……
- 478 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 12:29:54 ID:bykp+dtPO
- もふもふ!もふもふ!
- 479 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 16:12:34 ID:MIl5/hm1O
- きつね……もふもふ……あまいものがすき………
(*´Д`)モエッ!
- 480 :本当にあった怖い名無し:2006/07/25(火) 23:37:12 ID:sk0Idcky0
- モフモフ(・∀・)イイ!!
- 481 :本当にあった怖い名無し:2006/07/26(水) 02:36:47 ID:RzCSjStO0
- もふもふしていて…よい。
- 482 :本当にあった怖い名無し:2006/07/26(水) 03:27:46 ID:AqGk6MGl0
- 逃避で書いたツンデレSSの感想を求めて
F 5 連 打 す る 俺
- 483 :本当にあった怖い名無し:2006/07/26(水) 10:27:30 ID:bWVzj3fY0
- >>482
ずいぶんと、可愛いじゃないかw
- 484 :本当にあった怖い名無し:2006/07/26(水) 13:47:56 ID:Omksu4sC0
- きつね……もふもふ……あまいものがすき………
…デジャヴ?
- 485 :本当にあった怖い名無し:2006/07/26(水) 17:05:58 ID:UctibrRF0
- 狐様めんこい。
激しく G J !
- 486 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/26(水) 17:32:51 ID:x/qQHyWQ0
- むぅ、いいなぁめんこい狐さま。
そんな思いを込めて私も一作投じます。
- 487 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/26(水) 17:34:52 ID:x/qQHyWQ0
- それを何と呼べばいいのだろうか。
湿った風に威圧が混ざり、心がざわめく。その場を離れたいのに体は動かない。
『畏怖』
これ以上の説明のしようがない。恐怖ではない。本能が知っている。
…
ぬちゃ…ひた…ぬちゃ…ひた…
…
俺はどうなるんだろうか。
……
ことの始まりは日常的な『非日常』の中で起きたんだ。
「ちょ、おま、それ、だめーーー」俺は座敷ムスメを必死でとめようとした。
だが一足遅く、座敷ムスメは俺を振り返り、にやりと笑うとマウスをクリックした。
お気に入りフォルダにザックリ詰められた俺の虹コレクションがずらりと展開される。
「あふ、もう、死にたい…」俺の日常は、この座敷ムスメに出会ってから大きく変わった。
「…へ…(微笑)」冷たい目線が俺の胸をえぐる。いや、いっそ本当にえぐっていただきたい。
こいつはいつもこうだ。死んだじいちゃんは座敷ワラシとかは守り神だから大切にしろとかいっていたけど、こいつは疫病神の類じゃないかと疑うくらい嫌がらせする。
この前なんか、俺が072のフィニッシュのタイミングを見計らって、HGのポスターを目の前に広げやがった。もう、俺の心は「フォー」でしたよ。
そんな毎日を送る俺だが、その日は特にひどかった。
へこんでいる俺を尻目にやつは更に追い討ちをかけていたのだ。
俺はやつの行動に気づいて悲鳴に近い声を上げる。「や、やめてぇえええええーーーー」
ぽちっ。
マウスをクリックする音がコミカルに響いた。俺の2Gに近い虹コレクションはあっという間に削除された。
「も、もういやだーーーーー」俺は叫び声を上げてアパートを飛び出した。
どこをどういったんだろう。俺はさ迷い、いつの間にか暗い森にいた。
い、いや、本当に何でこんなところにいるんだろう。とりあえず、冷静になった俺は森を出なきゃと思った。
方角もわからないが、とにかく歩いた。程なくして社が見えた。
- 488 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/26(水) 17:36:41 ID:x/qQHyWQ0
- 「…神社?」だれかいるかな、と期待を込め足を運んだ。日が落ち始めていたので、小走りに境内に入った。
そこには確かに神社だった。古びて色のはげた鳥居にぽつんと小さな御堂(?)があった。
「だれかいませんかー?……いませんよぉお」反応が無いので自分で言葉を返す。
むなしかった。
っぽ、ぽつっ、ぽつっ…。
と水滴が落ちたかと思うとざぁっと雨が急に降り出した。
しょうがないので、俺は古びた扉を、ぎぃっと押し開き中に入って、雨宿りさせてもらうことにした。
「やまねぇえなぁ」俺はきっとずいぶん歩いたんだろう。家を出たのは昼ぐらいだったのに、今は日が落ちかけているのだから。
無性に眠たかった。やまない雨にうんざりしていた俺はいつの間にかうたた寝をしていた。
気がついたら日は完璧に落ちていた。
雨はまだ、降っている。俺は無性に後悔していた。だがいまさら夜の森を行くつもりはない。ポケットからライターを取り出し火をともした。
夜のお堂は薄気味悪い。ライターの揺らめく火に俺の影が踊る。
「あっち!!」ライターの点火部が熱されて熱かった。俺は仕方なく燭台がないか探すことにした。
と、すぐ見つかった。小さな祠の前に二つの燭台があり、幸いにもろうそくがまだ残っていた。
早速、火をつけた。明るさにほっとする。
まぁ、つかの間の安堵だったんだがな…。
「は」と目が覚めた。
俺は不覚にもまた寝ていたらしい。だが、先ほどと何か雰囲気が違う。
重苦しさ、息苦しさに包まれる。
燭台にはまだ火はともり、影がゆらゆらと揺らめいている。そして違和感に気がついた。
祠の扉が開かれている。そして、ぶあっと何か黒い影が飛び出した。
それは俺の背後にべちゃっという音を立てて落ちた。
- 489 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/26(水) 17:38:22 ID:x/qQHyWQ0
- それを何と呼べばいいのだろうか。
湿った風に威圧が混ざり、心がざわめく。その場を離れたいのに体は動かない。
『畏怖』
これ以上の説明のしようがない。恐怖ではない。本能が知っている。
…
ぬちゃ…ひた…ぬちゃ…ひた…
…
振り向くのが恐ろしい。そして…
「ねぇえ? こんなところで何をしているの」甘い、甘い声が耳に届く。
ひた…ぬちゃ…ひた…ぬちゃ…
俺のすぐ後ろでささく声に混じってなにか、不安を呼び覚ます音がなる。
白い指が俺の頬をなでる。
「硬くならないでいいのよ。でもここは…」もう片方の白い指が俺の腰をまさぐる。
ず、ず、にちゃっ…
何の音だろう? ふわりと甘い香のにおいが鼻腔をくすぐった。
「あ、あなたは…だれ?」やっとのことで声を絞り出す。
「あら、私のお家に無断ではいってそんなこというのね」いいながらも俺の体を這う指は止まらない。
はっきり言おう。すごく気持ちがいい。このまま身をゆだねてしまいたかった。だが。
ぬちゃ…にちゃ…ぬちゃっ…
この音が俺の理性に警告を発している。早くにげろと。
「か、勝手にはいって申し訳ありませんでした。もう、出て行きますから…」
「話をするときは人の目を見て話す」と何者かは俺をぐいっと振り返らせた。
そこには袴を着た巫女がいた。長い黒髪。白と朱の巫女衣装。
だが…。きれいな形のふじ額にはウジが湧き、頬はこけ、白い首は半分が腐り落ちていた。
「うっ」俺は口元を押さえた。生前はさぞ美しかったと思えるだけにその姿には例えようもない恐ろしさがある。
「あなたの精気がほしい」そいつはそういった。
じりじりと顔を近づける。この距離になると甘い香のにおいに混じって腐臭が漂う。
朽ちかけた女は俺のズボンをおろし、俺のイチモツに顔を近づけた。
「あら、もう、こんなにして」さっきの愛撫で俺のそれは怒張していた。そして畏怖に支配された今もそれは不思議なことに張り詰めていた。
「あ、あむ…ん」じゅぷ、じゅぷ…と女の頭が上下に振幅する。得も知れぬ快感が俺を支配する。もう俺は果てそうだった。
「も…う、だ…め」息も絶え絶えに俺は、果てた後どうなるかを考えていた。
そして…
- 490 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/26(水) 17:39:42 ID:x/qQHyWQ0
- 「そこまでじゃ!!」ぴんと張り詰めた声が甘い空気を切り裂いた。
扉の先に小さな黒い影が仁王立ちしていた。
「なぁに、いまいいところなの…に!?」ごんとすごい音をたてて朽ちた女に黒い影がぶち当たった。あまりの勢いに女は横倒れになる。
「あ。」俺のイチモツ君は解放され、それと同時に発射した。白い液体が空を飛ぶのがスローモーションで見えた。
「早く、にげるぞ」黒い影が俺の手をつかみお堂の外に連れ出した。
「ま、まちなさ…」声は見る見る遠ざかる。
俺はもうなにがなんだかわからなかった。
「ここまでくれば大丈夫じゃろ」程よく開けた場所に出た。空には月が煌々と照る。
影は、座敷ムスメだった。「愚か者め。不用意に土地神になぞ、つけこまれおって」
「助けにきてくれたのか」「ち、ちが、たまたま外を散歩してたら通りかかっただけじゃ。お前みたいなエロ坊主なぞ知るか」
「そうか。ところであれはなんだったんだ」「うむ。あれはここら一帯を守護する土地神だったのだが、あまりの淫乱さに封印されたのじゃ」
「目覚めたてじゃったから、良かったがそうでなければ…ええい。考えるだけで恐ろし…い!?」言いかけて座敷ムスメが凍りついた。
「どうした?」「い、いかん、はよう逃げんと」「え」振り向くと黒髪を振り乱した巫女が、遠くに見えた。どんどん近づいてくる。
「うあ、はやっ」座敷ムスメは俺を置いて走り出していた。朽ちた体とは思えぬほどの力強さが傍目からも判る。
「は、はやい、はやいよ。けどこういう時こそ焦ったらまけなのよね」「いいから、早く来い!!」俺の軽口を、きっと睨み座敷ムスメはさらに加速した。
俺も必死で走る。「…さ…い。ま…さ…い。まちなさーい」どんどん声が近づいてくる。
俺は振り返って驚いた。後ろを追いかけてくるのは絶世の美女だった。着物からはみ出た巨乳がたぷんたぷん揺れている。形相はしかし、鬼のようだった。
「ひ、ひぃ。なんかいきかえってるーーーー」「あ、さてはさっき果てたお前の精気をすすったな!! がんばるんじゃ、あと少しで森を出れる」
そしてなんとか森をでることができた。
森の向こうで悔しがる土地神の姿が見えた。
- 491 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/26(水) 17:40:30 ID:x/qQHyWQ0
- 「何で追ってこないんだ?」「霊は何かに執着し、その…何かから力を得るもの…がある。やつももっと…ち…からがあれば…追ってこれたかも…しれんが」
座敷ムスメが苦しそうに答えた。…苦しそう?
「お、おい、どうした」「う…む。家から…離れすぎた…時間切れじゃ…」すぅっと姿が薄れ始めている。
「おい、座敷ムスメ!!」「ぬ、まえから…言おうと…思ったが…わしは、おまえの…」
「おまえの!?」「ふ…なんでも…な…」言い終えず、娘は腕の中ですぅっと消えた。
「座敷むすめーーーーーーーー」
あいつとの様々な思い出が脳裏をよぎる。ひたすらいじめられた記憶しかないが、それでも悲しかった。
俺は後悔を胸に帰路についた。
家に着き、いすに座る。ここはあいつの特等席だったな。
「おれ、座敷ムスメの事好きだったんだな」心の中の思いを口にした。
と、ガタンン!!! と大きな音がひびいた。驚きながら、振り向くと。
「お、お前!?」顔を真っ赤にした座敷ムスメがいた。
「な、な、な、なにを口走ってるんだおぬしは!この変態、ロリコン、ペド野ろ…ぎゅむ」俺は口汚くののしる座敷ムスメを思いっきり抱きしめた。
「よかった、本当によかった」涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら喜んだ。
「ぐ、ぐ、くるしい」ぐっと俺を突き放し、座敷ムスメは俺の涙顔をみつめた。
「…む。むぅ。わしも…お前が無事で…その…良かったぞ」と一言残すと、ぱっと消えた。
それから、2、3日は姿を見せなかったんだが…。
「ちょ、おま、それ、だめーーー」とまた俺の悲鳴を上げる毎日は続いている。
-了-
- 492 :たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/07/26(水) 17:42:40 ID:x/qQHyWQ0
- 長くてごめん:;
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