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俺の妹は関羽3

1 :1:05/01/20 13:16:55
地響きを立てて長髭の偉丈夫が俺を追ってくる

「兄者ぁぁぁぁぁぁ!!お弁当をお忘れでござるぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

43 :春の嵐 1/3:05/01/23 21:56:36
叩きつけるような雨が窓を濡らしていました。
流れ落ちる滴の向こうには、苦しそうに枝を震わせる木々が見えます。
ぼんやりと、自室の出窓に腕をついて外を眺めていたおそそは、
ふと先日の出来事を思い出しました。

ふたりが通う高校には、グラウンドの片隅に簡素なうさぎ小屋があります。
数匹のうさぎが平和に草を噛む姿を、飼育係をかってでたらしい関羽は
嬉しそうに見つめていました。
「拙者、小動物には弱いのでござるよ」
大きな体を縮めるようにして、頬を染めて照れてみせる関羽を前に、
どうしようもなく胸がどきどきしてしまったおそそは、
つい「仕事を手伝うよ」と心にも無いことを言ってしまい、
うさぎのコロコロうんこを掃除する羽目に陥ったのです。
それでも、大好きな人と共にする作業なのですから、至福の時であったことに
間違いはありません。まあ、手にしているのはうんこでしたが。

そのうさぎ小屋は、用務員のおじさんが片手間で作ったようなひどい作りなのでした。
それがこの春嵐で、もしかしたら吹き飛んでしまっているかもしれません。
関羽があれほど大事にしているうさぎたちが死んでしまうかもしれません。
そう思うとおそそは居ても立ってもいられなくなり、レインコートに帽子を手にすると、
家人の制止を振り切って学校へ向かって駆け出しました。



44 :春の嵐 2/3:05/01/23 21:58:20
恐ろしい風が叩きつけるような雨と共に全身を襲ってきます。
ウェイトの軽いおそそは幾度も飛ばされそうになりながら、
なんとか学校のグラウンドまでやってきました。
バキバキに壊れて用途を成さなくなった傘を小脇に目指すうさぎ小屋へ向かうと、
なんとそこには、飛ばされそうなトタン屋根を押さえて奮闘する
ひとりの漢乙女の姿があるではありませんか。
「関羽ちゃん!」
叫んで走り出そうとしたおそそは、泥に足をもつらせてその場に思いっきり転んでしまいました。
「おそそ殿! 大丈夫でござるか!?」
「う、うん、大丈夫だから。それより関羽ちゃんは、一体どうして」
したたかに打ったくるぶしがじくじくと痛みましたが、おそそは気丈に笑いながら
関羽の元へと急ぎました。

「うさ王やうさエンペラーが気になってならず、つい来てしまった次第」
吹き付ける暴風から剥がされそうになる屋根を両の手で押さえていた関羽は、
全身濡れ鼠、きらめく美髯もしっとりと濡れて水滴をしたたらせています。
関羽はうさぎの一匹一匹に名前を付けて、それはそれは可愛がっていました。
大切にしているうさぎが心配で心配で、こんな嵐の日に、たったひとりでやってきたのです。
怖かったろうに。寂しかったろうに。
なんて優しい女の子なんだろう。
感動の余り泣けてきたおそそは、でももう大丈夫、あとはふたりで頑張ろうとばかりに
関羽の横へと立ち並び、共に屋根を押さえようと腕を伸ばしました。



45 :春の嵐 3/3:05/01/23 22:00:14
あれ? おそそは瞬間表情を強張らせました。
長身の関羽だからこそ出来る大技……腕を伸ばして小屋の屋根を押さえる……なのです。
小柄なおそその手が、屋根まで届く筈がありません。
「おそそ殿」
青ざめた自分に気付いたのか気が付かぬのか、関羽はやけに威厳の篭もった声で言いました。
「拙者のことは気になさらないでくだされ。ここはひとりで大丈夫。
それよりも、惇ちゃんを助けてあげてくだされ。あちらは人手が必要と見受けられるゆえ」
「惇? 惇が来ているのか?」
従妹である惇の精悍な眼帯姿を思い出し、おそそは驚いて関羽を振り返りました。
「惇ちゃんは屯田中の田畑が心配で来ているのでござる。このままだと風害を免れないとの
こと。陣地へ赴くその後ろ姿は悲痛この上無かった。おそそ殿、ここはいいから
早く惇ちゃんの元へ行ってあげてくだされ」
関羽は、おそその愛しい関羽は、すっかりびしょぬれにも関わらず全身の輝きを失わぬ関羽は、
抑揚のない冷静な声音で、おそその問いにそう返すのでした。

おそそに何が出来たでしょう?
惇ちゃんの元へ行けと優しく諭されたその状態で、いや君とふたりでここを
死守したいと、厚顔無恥にも大言を吐くことが出来るでしょうか。
おそそは今更ながらひどく痛んできた脚をかばうように、関羽に背を向けて歩き始めました。
園芸部の惇ちゃんが大事にしている田畑は、グラウンドの反対側にあります。

関羽の存在を背に大きく感じながら、
冷たい雨が降りしきる中おそそは歩き続けるのでした。

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